コラム

社交ダンス物語

2018/06/01更新

社交ダンス物語 228  「わたし」と「あのひと」

「わたし」と「あのひと」


 人と自分を比較することは良くないことと知りながらも、ダンスをしていると自分とよそのパートナーを比較している自分がいます。あのパートナーさんの背中はきれい、私の背中は毛だらけ(第41話)。うちのリーダーもそうです。対戦相手のことが、とても気になるようですね。試合で踊る前からエントリー表を見て、その中で自分が勝てそうな相手は何組いるかを姑息的にチェックしているのですから。シニアラテンA級の場合、毎度のごとくエントリー表の中には、自分達が勝てそうな選手は一組もいません。(涙)

 競技ダンスをしていて、つくづく実感いたします。自分達は努力しているつもり。でも、昇級どころか持ちクラスの維持もままなりません。他方、順調に昇級・維持しているよその選手をみていると、本当に自分達がみじめになります。試合で負けるたびにこう思うのです。『美』と『技』を競い合う競技ダンスは、才能のある美しい人が努力して報われる世界であり、所詮チビの自分達は努力しても報われないのだと。

 苦しみの原因は相対的存在に求めるもの、すなわち「わたし」が「わたしならざるもの」によって生じるといわれます。自分の例を、思いつくまま挙げてみましょう。「私よりも遅くダンスを習ったあの子の方が、ダンスの腕は上達している」「パーティーでは私よりも彼女の方が、男性から誘われている」「あの人のリーダーは長身・細身なのに、うちの人はずんぐりしてハゲている」など。

 比べることが悪いことと知りながらも、私は「わたし」と「あのひと」とを比べながら生きています。そんな私に阿弥陀さまがダンサーとしてどうあるべきかを願って下さっているか、聞かせていただきたいと思います。糸病・眼科の池田、せんえつながらお坊さまでないのに、『ダンス』を通して『ブッキョウ』を語らせていただきました。


☆ 勝利の秘訣は周りとの比較ではなく、自分たちのダンスへの情熱です。
(2009年日本インターナショナルダンス選手権大会・ラテンチャンピオンの言葉)

著者名 眼科 池田成子

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