コラム

ピアニストの健康エッセイ

2010/04/30更新

ピアニストの健康エッセイ 11

灯りの活用法



 かつて私が留学していた頃、一時帰国するたびに毎回感動したのが日本の街の明るさでした。当時住んでいたウィーンは静かな古都なので、その反動からかネオン満載の繁華街、過剰なまでの賑わいが心底恋しかったものです。
しかし帰国して何年も経つと、今度はヨーロッパの街並み、窓からこぼれるオレンジ色の光を懐かしく思い出します。
ヨーロッパの家庭では白熱灯の灯りが一般的なのです。真っ白な蛍光灯がお茶の間の象徴である日本とは対照的です。
(CO2削減のため、近年はヨーロッパでも蛍光灯を重視しているそうですが。)

 ところで、これらの灯りが人体に与える影響について考えてみたことはあるでしょうか。
新しい環境になる4月、5月。緊張からか、なかなか寝付けない・・・等の悩みを持つ方も多いでしょう。そんな時、軽度のストレスであれば、寝る数時間前から照明を暗くすることで改善されることがあります。
特に子供には、落ち着いた灯りで体内時計を整えてあげることが大切です。寝る直前まで昼間のような煌々と明るい照明の下、テレビを見ていたというのでは、なかなか質の良い眠りは得られません。
逆に海外旅行で生じる時差ボケは、起床時間に合わせてしっかり太陽光(または強い光)を浴びて脳を覚醒させると、早く治るそうです。

 さて、よく「白熱灯の温かみのある光によって、料理が美味しそうに見える」、あるいは「照明の暗いお店でのテーブル上のキャンドルは、女性を美しく見せる」など、灯りによる演出の効果を耳にしますが、これは音楽を聴く際にも活用できます。
音のイメージが視覚からの効果で変化することもあり、その影響力ははかり知れません。

 そんな夜に聴く音楽というと、すぐに思い浮かぶのがノクターン(夜想曲)です。有名なのはショパンですが、フランスらしく洗練された美しさのフォーレのノクターンもお勧めします。
寝る前のひと時、ロマンチックな間接照明でリラックスしながら甘美な旋律に酔いしれると、きっと一日の疲れを浄化できることでしょう。



著者名 丸山美由紀(ピアニスト、糸魚川市在住)

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