コラム

社交ダンス物語

2021/06/01更新

社交ダンス物語 301 筑前煮から学ぶ ダンス篇

「晩ごはん、何にしようかしら?」 
ネットで紹介されている、レシピのサイトを開くのが楽しみです。バリエーションも豊富ですね。おでんの具材を取り上げても、
「こんなものまで!?」
驚くばかりです。おでんの定番といえば、大根、ゆで卵、こんにやく、そして練り物ですよね。昨今のおでんには、ロールキャベツ、フランクフルト、豚バラ肉が入っているそうですね。あさりやカニ、厚焼き卵、たこ焼きにシウマイが、おでんの具材として紹介されているからスゴい! さらに、トマトやアボカドまで!(何だってあり? あまりにも現代風にアレンジされて、おでんとは別物になっている?)

 煮物好きの筆者です。同じ日本料理の定番、筑前煮のレシピを開いてみました。『筑前煮』は、九州北地方の代表的な郷土料理。具材を「油で炒めてから煮る」という作り方が、筑前地方独特のものであったことが、名前の由来だそうです。自分もよく作ります。お気付きの方もいらっしゃるでしょう。筑前煮のレシピで紹介されている具材は、おでんとはうってかわり、バリエーションはほとんどみられません。どのレシピもほぼ同じ。基本に忠実です。基本の筑前煮は8種の具材が使われています。干し椎茸、ニンジン、こんにやく、レンコン、ごぼう、里芋、絹さや、鶏モモです。バリエーションはあってもせいぜい、鶏モモ肉の代わりに、ちくわを使うぐらい。(肉よりお安くあげられるという理由で。)

「なぜ筑前煮は、トリなの?」
素朴な疑問です。おでんの具材同様に、牛肉や豚肉、ウインナー、魚介類が入っていても良さそうなもの。でも、どのレシピを見ても鶏肉オンリーです。そこで冒険です。自分は鶏モモ肉のかわりに、豚モモ肉を使った筑前煮を作ってみました。調理法や味付けは、いつもと同じ。ジャッジはグルメの代表格とも呼べるお坊さん(弟)と、煮物の達人を祖母に持つ(第284話)うちのリーダーです。結果は…
「No!」
「あかーん!」
自分も試食しました。なるほど、ミスマッチ。具材の一つ、鶏肉を豚肉へ変えただけなのに、まるで反発しているかのよう。豚肉本来の旨味がクセとして出てしまい、全体との調和がとれません。(ダンスで表現すれば、カッコイイと思い込み、崩れたラインのまま踊っている自分達のダンス?)

 クセといえば、アマチュアレベルのダンスの競技会では、クセのない踊りが多くのジャッジや観客から好感がもたれます。クセのない踊りとは、基本に忠実であること。自分達のような下のクラスのアマチュア競技選手は、基本のステップよりも、派手で見栄えの良いバリエーションに走りがち。プロの場合、ベーシックで踊っていても、はっと魅せられます。個性が発揮できるのは、基本を極めているがゆえです。元世界ラテンチャンピオンのマイケルによると、ベーシック(基本)の延長上にコンテンポラリー(自由にアレンジしたもの)があるのだとか。話をお料理へ。筑前煮はとても基本に忠実なお料理と言えましょう。アレンジしても違和感を感じないカレーやラーメン、パスタやおでんとは異なります。アレンジしてしまえば、筑前煮は筑前煮ではなくなってしまいますので。基本にとても忠実。ベーシックで勝負する格調高きお料理です。さすがですね。お正月料理などの祝いの席では欠かせない、おもてなしにぴったりの逸品でした。(笑)


☆ダンスも同じ。基本に忠実であれ!

著者名 眼科 池田成子

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