社交ダンス物語 4 「これって、ダンスのプロポーズ?」

コラム

 能生町のクリスマスダンスパーティーに参加した時のことである。40歳前後と思われる見知らぬ男性から踊ってもらった後に、携帯電話の番号を聞かれた。これはナンパ目的では・・・と思ったが、けたたましい音響のホールの中で、メモなしで十一桁の番号を暗記できる訳はないだろうと思い、笑いながら自分の携帯電話の番号を答えた。
 数日後、その人から電話があった。男性の暗記力と行動力に圧倒され、どんな人なのか会ってみることにした。
 約束の日は食事に誘われた。洒落たレストランでランチと思いきや、いきなりコンビニへ連れてゆかれた。車の中でおにぎりを渡された後、体育館のような所へ連れてゆかれ、気が付くと五時間も踊っている(踊らされている?)自分がいた。
 謎の男の正体は、ダンスのアマチュア競技選手であった。かくしてダンス歴一年の私は彼のパートナーとして、春の競技会に向けて猛練習を始めることになったのである。 (つづく)

著者名 眼科 池田成子