社交ダンス物語 369 誤作動

コラム

 日曜日の昼下がりのことです。ダンスの練習を終えて、マンションのお部屋でくつろいでいると、キッチンの天井に取り付けてあるガス警報器からけたたましい警告音が鳴り響きました。そしてアナウンスが…
『ガスが漏れています…ガスが漏れています…』
キッチンへ走りました。ガスが漏れている気配なし。ニオイは全くしませんし、ガスコンロは消してあります。警告音は耳をつんざかんばかりの音。お隣さんに、まる聞こえです。安全を確認し、自分はガス漏れ警報器の警報停止ボタンを押しました。すると警告音は消えました。ほっとしたのも、つかの間です。再び、けたたましい警告音が…。念のため、ガスの元栓を締めました。そして再度、警告停止ボタンを押しました。しかし今度は全くそれに反応しません。警告音は鳴り響いています。
「ガス、漏れている訳ないのに…。」
先程、自分のお尻からガスが出ました。ガス警報器が、そんなものに反応するなんて、ありえへ〜ん!!
 
 うちのガス警報器は電池ではなく、電気で作動しています。それにしても、メマイがしそうな警告音です。全身の毛穴が開きそう…。とにかくこのサイレンを、一刻も早く消さなければなりません。どうしたら良いの? 不動産の方に電話で連絡をつけた後、自分は椅子によじのぼり、お部屋のブレーカーを一旦落としました。すると警告音は消えました。ほっ。再度ブレーカーを入れました。そして何もなかったかのようにガスの元栓を開き、晩ご飯の準備にとりかかりました。するとまた激しい警告音が…。
「ジーザス!」
背に腹はかえられぬ、ブレーカーを落としたり入れたりの、いたちごっこです。するとガス警報器から、トドメの一撃が…。
『取り付け後、5年が経過しています!』
 
 そのアナウンスを最後に、警告音は消えました。家庭用消火器と同じ、5年で新品と交換せよとの戒め? セコムの方がマンションへ駆けつけてくれました。状況を説明したところ、原因はガス漏れではなく警報器の誤作動ということで、解決いたしました。同じマンションの他の部屋でも誤作動の現象が見られることがあるそうで、今回ブレーカーを落としてリセットした事で暫くは大丈夫ではないかとの事でした。
 
 読者の皆さま、これは人ごとではありません。オール電化でガスはなくても、ご自宅に火災報知器はおありでしょうか? 火災報知器も経年劣化(交換時期目安は10年といわれます)や機器の電池切れ、ホコリや小さな虫などの侵入、料理や殺虫剤の煙・湯気で誤作動することがあるそうです。なお誤作動するのは、『機械』ばかりではありません。『人』もしかり。うちのリーダーは、ダンスで誤作動いたします。普段の練習では正しく踊ってくれているのに、いざ競技会となると、「勝たなきゃ!」と力んでカウントを外したり、音より早くなったり、ステップが飛んじゃったり…。
「あるある! うちのリーダーもそう。」ですって? 競技選手のパートナーさんへ、そんな時は誤作動したリーダーさんの停止ボタンになってあげて下さいね。えっ? ムリムリ、止まらない!ですって? はい、うちのガス警報器もそうでしたから。(苦笑)4月といえば、前期のダンス競技会シーズン真っ只中です。誤作動なしで、ダンス安全運転を心がけましょう。(笑)
著者 眼科 池田成子