社交ダンス物語 403 リーダーとパートナーの会話 46

コラム

 病院の講堂には、ダンスの練習に挑戦するアラ還、病持ち独身男女の姿あり。脊柱管狭窄症の手術を受けコルセットが必需品のリーダーは、やわやわ(富山弁でゆっくり)とルンバウォーク。やる気ホルモンのなくなる甲状腺の病気を患っているパートナーは、ダンスしながら大あくび。なお乳××の薬は、10年のみ続けるよう主治医から指示されています。
 
リーダー:「成子さん、昔はクラス維持、ダンス昇級をかけて、必死になって競技会を出まくったね。」
パートナー:「そうよね。下手な鉄砲も数打てば当たるとばかりに…。」
リーダー:「今年は前期(春)の大会で持ちクラスを維持したから、後期(秋)の試合は、近場の新潟と長野にしぼらせてもらうよ。」
パートナー:「昔はダンスに熱い情熱があったわね。年とって病気してからは、うぞい(富山弁で情けない)わ。」
リーダー:「年をとると、情熱がなくなってしまう。」
パートナー:「♪あ〜あ 熱い熱い情熱だけは〜 これ、昭和の10代の伝説ね。」 
 
 ここで、読者の皆様だけに、こっそりお伝えいたしますね。アラ還チビ・ハゲ、密かにダンスをさぼることを考えているのです。年のせい? 病気のせい? それとも両方?
 
パートナー:「やる気ホルモンがなくなっても、仕事とダンスはやらなきゃいけないわ。糸病コラムを続けるためにも…。」
リーダー:「そうだね。」
パートナー:「10年後、ダンス界はどうなっているかしら?」
リーダー:「ダンス界は高齢化している。アマチュア競技選手として、赤いちゃんちゃんこ(還暦)の自分達は、まだ若い方だ。」
 
 読者の皆様、10年後のご自分を想像できますか? チビ・ハゲ、年だから、病人だからと言っていられない? 手は動くし、足も動きます。目も見えます。これは、ありがたいこと。ダンス、ラストスパート! 10年後のなりたい自分を目指して、したたかに今を生きましょう。
 
パートナー:「10年後(アラ古希)は、シンボルカラーの紫色のラテンドレスにピンク髪のカツラをかぶって、競技会のフロアを舞うわ!」(笑)
著者 眼科 池田成子