社交ダンス物語 406 一コケか? 新潟県大会

コラム

 2025年後期関東甲信越競技ダンスの幕開けは、新潟県大会。9月7日に小千谷市総合体育館で開催。自分達チビ・ハゲもエントリーしました。かつて申し上げた通り(第396話)、新潟県大会はレベルが高い! チビ・ハゲは地元新潟で、良い成績をもらったことはありません。一コケ(一次予選敗退)ばかり。
 
 開場の1時間前に、競技会場へ到着しました。選手達は体育館の入り口の前で列をなして待っています。競技会では場所取りがストレス。選手控え室は早いもの勝ち。早く並んで待っていた選手は開場と同時に入り、良い場所にシートを敷きます。自分達は午前8時すぎに並びました。並んで待つこと1時間。次第に長蛇の列。長蛇の列といえば、8月にお坊さん(第399話)と横浜でデートしましたが、横浜ハンマーヘッドの2階の菓子店もそうでした。自家製キャラメルにクルミを詰め込んでバター生地で挟んで焼いた人気商品『クルミッ子』を買うために、お坊さんは55分も並んで待ちました。しかも売り切れ御免。クルミッ子、リーダーに食べさせました。美味しいけど、お菓子を買うために1時間は並んで待てないそうです。えっ? 1時間は可愛いって? 大阪万博の人気パビリオンは、炎天下で並んで4時間待ちだったそうですね。
 
 午前10時、試合開始。自分達はアマチュア ボールルームB級に出場。一次予選は最終ヒートでした。驚くことに、同じヒートにうちの教室の選手が3組もいます。
「同じB級なのだから、残ってね。」
フロアサイドで、背番号が連番で隣に整列している先輩がニンマリ。同じB級でも、実力差は月とスッポン。チビ・ハゲ、一コケ。(涙)午後にはラテンの試合を控えています。
リーダー:「早めにランチをとろう!」
負けてもリーダーは嬉しそう。パートナーの手作りサンドイッチを食べさせてもらうことは、競技会でのお楽しみだそうです。定番はゆで卵と照り焼きチキンを挟んだサンドイッチ。マヨネーズと粒マスタードとの相性は抜群。
リーダー:「幸せ、幸せ。」
 
 午後1時すぎからは、ラテンの試合開始です。ラテンの競技用ドレスに着替えて、フロアの隅に座って待っていました。やる気ホルモンのなくなる甲状腺の病気を患っているパートナー、これから踊るというのに睡魔が襲ってきました。しばしうとうと。寝ぼけ眼でふとフロアを眺めると… そこには、目を見張るほどラインの美しい6人の男性がいるではありませんか。まるでダンスの王子さま。その6人の男性とは、フロア清掃をしている大会役員の先生でした。さすが、プロ。モップを持って立っているだけで、絵になるのです。
 
 休憩時間が終わり、試合直前の練習タイムがきました。フロアでは、選手達は険しい表情で、最終確認とばかりにガンガン踊っています。チビ・ハゲ、フロアサイドでそれを傍観。
リーダー:「なんでみんな、あんなに踊っていられるんだ?」
パートナー:「私たち、病持ちよ。」
リーダー:「試合まで体力を温存しよう。」
 
 病持ち、午後のラテンの試合も一コケが想定されましたが、ワンチェックの僅差で、最終予選に勝ち上がることができました。ラテンでは肌が白いとドン引きなさるジャッジの先生がいらっしゃるそうですね。自分は大会の前日に、タンニングローションで肌を黒くしました。今回はそれが奏功した? 
「肌を黒くしなかったがためにワンチェックもらえず、それで落とされたと思ったら、悔しくありませんか。」
これはかつてうちの教室にいた、ラテンA級の先輩からの教訓です。そのパートナーさん、タンニングローションのアレルギーあり。痒みと闘いながら、根性で塗っていたというから、スゴい!
 
 今回の新潟県大会ではテーマは「軸」。軸を意識して踊りました。ラテンでは一コケを免れてバンザイです。
♪もしもし、かめよ、かめさんよ
 せかいのうちで、おまえほど
 あゆみの、のろい、ものはない
 どうして、そんなに、のろいのか〜
カップルを組んで19年目。競技選手としては、カメのように歩みののろいチビ・ハゲです。できの悪い子ほど、可愛い? どうかこれからも、チビ・ハゲを応援して下さいね!(笑)
 
リーダー:「カメはどんなにのろくても、追いつけばよいのさ。」
パートナー:「了解! 早く追いついてよ!」
著者 眼科 池田成子