「この味を知ったら、(ダンス)もうやめられません。」
その先輩はいつも優勝、表彰台の常連でした。ところで、『勝ち』の味ってどんな味なの? ダンスはダメ、そこでダンス以外での『勝ち』の味探しに、自分は奔走しております。病院での仕事が一段落したら、おもむろに医局で所用しながら時計をちら見します。
「時間がきた。いざ出陣!」
『勝ち』の味探し、それはお惣菜やお刺身のパックに貼られた赤札です。地元のスーパー、ドラッグストアへと向かいます。最初は10%引き。20%、30%と、次第に赤札は重ね貼りされてゆきます。そして最大50%引き! これって快感ではありませんか? 時間差で、他のお客さんが購入した半値で、同じ商品をゲットできるのですよ。自称、赤札ハンターこと糸病・眼科の池田、スーパーやドラッグストアで眼科医の目は鋭く光ります。ただし、ここもダンスの競技会と同じです。世の中、自分と同じことを考えている消費者(対戦相手)は、ごまんといます。人気商品は赤札が貼られたら、すぐに消えてしまいます。
「負けてなるものか!」
用意周到、時間を見計らって、赤札が貼られる前から店内をリサーチ。お惣菜売り場を行ったり来たり。
『まだかな、まだかな…。』
きたきたっ! ピッ、ピッと、バーコードリーダーから発せられる音に胸の鼓動が高鳴ります。狙った獲物は逃さない。お目当てのお惣菜に赤札が貼られた瞬時に、ここぞとばかりに目にもとまらぬ早さで手を伸ばして獲物をゲット。(まるでカメレオン?)すると店員さん、ニッコリ会釈してくださいます。
店員さん:「いつもありがとうございます。」
鮮度が落ちた赤札のお刺身(北陸の方言では、「なれた刺身」と言います。)は、美味しくないと思われがち。ホッホッホ、自分は意図的に半値の刺身を買うのですよ。一切れごとに切ってあるお刺身は買いません。サクで購入いたします。ブリのサクのお刺身、50%引きは大漁です。帰宅したら、サクのお刺身を包丁で分厚く切ります。これって、まさに『勝ち』の味!先輩と同じ? この味を知ったら、(赤札)やめられませんわ。(笑)それから分厚く切ったお刺身を、グラグラと煮えたぎるお鍋の中へ投入。
「ステキ!」
この高揚感、たまりません。自分で自分を褒めてあげたい。ダンスでは、いつも劣等感ばかり。でもこの時ばかりは優越感に浸れます。(笑)
赤札のお刺身は、うちではお味噌汁に有効活用しております。刺身用を活用する良い点は2つあります。まず、骨がありません。安心して食べられますよね。しかも生ゴミも出ません。もう一つのメリットは、お刺身用は灰汁(アク)がほとんど出ないこと。普通にブリのあら汁を作る際は、結構な灰汁が出ます。一々すくうのは面倒。それが刺身用なら、灰汁をとる手間が省かれます。手軽に美味しいお味噌汁が出来ちゃうんですよ。是非、お試しあれ。
『勝ち』の味、ワクワクしますね。糸病コラム『社交ダンス物語』をご愛読いただき、ありがとうございます。ダンスでは成績が出ないので、食べ物ネタになってしまいました。食べることは、生きる源。『医食同源』、食べたものが自分になります。美味しいものを食べて、チビ・ハゲ、来年のダンスの試合に向けて、身を引き締めて前進したいと願っております。読者の皆さま、応援ありがとうございます。糸魚川総合病院ならびにチビ・ハゲに、次年度も変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます!
著者 眼科 池田成子
