ここで、味付けについて、考察してみましょう。飲食の分野における『味付け(あじつけ)』は、料理に風味や味わいを加えるために行う調整のことを指します。主に調味料を使用して、食材の味を引き立てたり、バランスを整えたりする作業が含まれます。味をととのえる時は、レシピの分量だけに頼らず、必ず自分の舌で味をみることが大切とされています。
和食の味付けの基本は、「さしすせそ」と呼ばれます。「さ」は砂糖の略。主に甘味をつける目的で使用されます。砂糖は塩よりも分子量が大きく、食材に染み込みにくい性質を持っているため、一番始めに加えるのがおすすめ。「し」は塩の略。塩味をつけたり、食材の水分を出して味を引き締める役割があります。塩は砂糖よりも分子量が小さく、塩を先に入れると甘味が十分に入らなくなり、食材も硬くなってしまいます。ゆえに、砂糖の次に加えることが推奨されます。「す」はお酢のこと。独特の香りや酸味で料理をさっぱりさせたい時や、塩味を和らげたい時に使います。「せ」は醤油のこと。昔は「せいゆ」「せうゆ」と書かれていたそうですね。旨みやコクが加わり、奥深い味が楽しめます。醤油は風味や香りを活かすため、仕上げの直前に入れるのがポイント。「そ」は味噌。まろやかで深い旨みと香りをつける役割があります。味噌をグツグツ煮立てると香りや風味が飛んでしまうので、仕上げのタイミングに加えて、ひと煮したら火を止めて入れています。
さて、和食の味付けの黄金比、その味の基本は醤油:本みりん=1:1といわれます。この味の基本に、酒/胡椒/酢/味噌/だし/塩/砂糖等を足して、バリエーションを作ります。自宅で筑前煮を作る時の自分のモットーは、『煮物は2(にものはに)』です。まず具材を2分間炒めます。そこへ砂糖大さじ2、醤油大さじ2、みりん大さじ2、酒大さじ2、干し椎茸からとっただし汁に粉末のカツオだしの素を加えたものを、2カップ加えて火にかけます。『煮物は2』覚えやすいですよね。前述で述べた通り、干し椎茸には甘味が染みてほしいので、あらかじめ砂糖水で戻しておきます。具材はレンコン、ニンジン、こんにゃく、タケノコ、鶏もも肉、椎茸など。バリエーションとして銀杏を入れると、見た目もよく色鮮やかになります。仕上げに絹さや、ハレの日にはトッピングに金箔をふりかけます。料理は『科学』であり、『芸術』でもあります。
最後に、『味付け』は飲食の分野のみならず、ダンス界でも使われています。ダンサーにとっての味付けとは、バリエーション(振り付け)、音の取り方、そして表現力です。
「これから味付けをします。」
競技会が迫ると、コーチャー(女先生)はちょっと硬い表情。チビ・ハゲのダンス、お味は不味いので、それを美味しくしなければならないとばかりに…。競技ダンスは他者との比較です。見られてナンボの世界。甘いダンス、サラリと塩味のダンス、濃くて粘りのあるダンス…。勝つために、味の素、本だし、ポン酢、マヨネーズ、何でも持ってこいっ! えっ? チビ・ハゲ、ダンスで味付けだなんて、コワクサイですって? はい、チビ・ハゲ、ベーシック(基本)も踏めません。音もとれません。なのに、ダンスで味付けせよだなんて、こわくさすぎ? コーチャー、そこが腕の見せどころですよ。ヨロピクお願い致します! ちなみに「こわくさい」とは、富山弁で「小生意気」の意味。(笑)
☆ダンスで味付け。こわくさいこと書いて、ゴメンナサイ。(拝みマーク)
著者 眼科 池田成子
