社交ダンス物語 414 リーダーとパートナーの会話 47

コラム

 エアコンが消された真冬の病院の講堂には、ダンスの練習に挑戦する病持ち、アラ還独身男女の姿あり。結婚をも顧みず、ダンスに夢中だったチビ・ハゲです。40代の頃はちょっと笑えた? 50代になると笑えなくなり、還暦ともなれば、もはやコワいものなし? うちの病院の講堂は、自分達チビ・ハゲにとって神聖なる『ダンス道場』です。あらあら、その道場にて、リーダーは背中を掻きまくっているではありませんか。
 
リーダー:「痒い! 痒い!」
パートナー:「乾燥するからよ。年をとったら、石鹸は禁忌だわ。」
リーダー:「成子さんがそう言うから、マタとワキと足の裏以外は、石鹸は極力使わないようにしているのだけど…。」
パートナー:「あなたは、綺麗好きすぎるのよ。」
 
 ダンスの練習を、しばし中座。パートナーは講堂の隣にある採尿トイレから戻ってきました。するとリーダーは、コワい顔。
 
リーダー:「成子さん、手を洗ってきた?」
パートナー:「洗ってきたわよ。あなたって本当に潔癖性ね。」
リーダー:「若い頃は××を石鹸ですごく入念に洗っていたよ。痒くなったことがあったね。マジで、いんきんたむしになったのかと思った。」
パートナー:「洗いすぎよ。」
 
 とにかくうちのリーダーは清潔好きです。パートナーとダンスの練習をする前後も、入念に手を洗っています。手荒れ予防に、彼はハンドクリームを常に持ち歩いております。
 
パートナー:「皮膚科の先生の手があまりにも美しいので、どんなスキンケアをしていらっしゃるのか聞いたの。」
リーダー:「へぇ。それで、どんなハンドクリームを使っておられるの? 僕はニベアだけど。」
パートナー:「その先生、手は洗わないんですって。」
 
 なるほど。洗うから脂がとれて皮膚は痒くなるし、洗えば洗うほど手は荒れてしまいます。手荒れ、乾燥肌の季節です。読者の皆さま、どうぞご自愛下さい。
 
著者 眼科 池田成子